どうも、くりこ(@kuriko828)です。この度、私の大好きなヘンタイ同期たちの中でも選りすぐりのヘンタイ(注 誉め言葉)であるびば(森 一樹 @viva_tweet_x)が「ふりかえり読本 実践編~型からはじめるふりかえりの守破離~」という本を書いたとのことで、「読みたい!」と名乗りを上げて読ませていただきました!
(無料お試し版)ふりかえり読本 実践編~型からはじめるふりかえりの守破離~
(冊子版)ふりかえり読本 実践編~型からはじめるふりかえりの守破離~
(DL版)ふりかえり読本 実践編~型からはじめるふりかえりの守破離~
本書はびばがこれまでに書いてきたシリーズ累計1,000部突破の「ふりかえり読本」の3冊目にあたります。(著者曰く、前作・前々作を読まずに本書だけ読む、というのもOKだそうです。実際、私も本書だけを読みました。)
でもね、超ぶっちゃけね・・・
は?ふりかえり?改めて読むようなこと、ある?
はじめて「ふりかえり読本」のことを知ったとき、私はこう思った。
「ふりかえり?わかるよわかる、過去なにが起きたか書き出したりとか、改善とかそういうのするんでしょ?そんなのしってるし。改めて本なんて必要あるの?」
本書を読むまで、少なくとも私は、そう思ってた。なんでシリーズ累計1,000部もいってるのか全く分からなかった。おそらく「ふりかえり」という言葉をみて、わたしと同じことを思う人もいるんじゃないかと思う。
私たちは小学生のころから課外活動等をするごとに「さあ、活動のふりかえりをしましょううね~」とプリントに手書きで活動の「良かった点」「悪かった点」だの「楽しかったこと」だのを強制的に書かされてきた。
正直、その「ふりかえり」なんて、書いたすぐそばから忘れていっていた。ふりかえった内容がなにかに活かされることなんて一度もなかった。ただ先生が喜びそうな”答え”を書いて、それで先生を満足させるためだけのものだった。
だから私は「ふりかえり」なんて正直興味なかった。でも、びばのやることには興味があった。だから、彼が精魂込めて書いたものであるなら、騙されたつもりで読んでみよう。初めはそういう気持ちで読み始めた。
本書の対象読者
ここでまず本書がどんな人におすすめの本なのかを先に書いておこうと思う。
☑プロジェクトがうまくいっていない
もう手遅れでは?焼石に水では?と思うような炎上場面でほど、とりいれたい
☑プロジェクトのうまくいっている部分の再現性を高めたい
うまくいっている部分をみつけて、横展開をすすめたい
☑「ふりかえり」はしているがマンネリ化している・効果がイマイチ
現在のふりかえりの方法を見直し、より効果的な方法にしていきたい
本書ではふりかえりの基本の型(複数手法を組み合わせた一連の流れ)が8つ紹介されている。このリストを見ていただくことでも、もしかしたら「ピン」とくる人がいるかもしれない。
1.基本を知る(短期間を振り返る)
2.良いところを知る
3.問題を解消する
4.学びを最大化する
5.関係の質を高める
6.多角的にとらえる
7.長期間をふりかえる
8.未来のことを考える
本当に効果の出る「ふりかえり」を学ぼう
私は、本書を読んで、自分がいかに「ふりかえり」を舐めていたかを思い知った。
「ふりかえり」には、著者が知るだけで80を超える手法があるらしい。そして、著者はそれらを学び、実際にやってみて、その学びをもとに、本書で8つの典型的なふりかえりの型(複数の手法を組み合わせた一連の流れ)を紹介している。
まずそもそも「ふりかえり」をするにあたって、複数の手法を組み合わせてやってみたことがある人がどれほどいるだろうか?大抵の人は、KPT(Keep,problem,tryでアイデアを出す方法)ならKPTだけを使って、ふりかえりを行ってきたのではないかと思う。
しかし本書で推奨しているふりかえりの一連の流れでは、基本の型だけでも、6手法を用い、40ページの説明を行っている。そこまでちゃんとしたふりかえりって、今までやってみたことがあるだろうか??
手法をなんとなく、テキトーにやってみただけでは、ふりかえりの効果は得られない。特に、チームで実施しているプロジェクトの振り返りでは、ふりかえりの場のフィールドルールや、雰囲気作りがとても重要・・・。著者のそういった経験をもとに適切な手法を組み合わせて作られた「型」。これが、本当に効果的で、その後に役立つ・・・。
結局、私がこれまでふりかえりをすることであまり効果が得られたと思わなかったのは、そもそもテキトーなふりかえりしかしてないからだった。
著者の経験を盗み、即使えるふりかえりスキルを身につけよう
私が考える、本書の最大のウリは、いくつものノウハウが全て著者の数多の経験に裏付けされたものである点である。その辺のまとめサイトや出版されてる本では得られない「現場で使う際のポイント」(本書では『進め方のポイント』として記載)が懇切丁寧に書かれている。
本書を読むことによって、本来であれば各手法を一定程度使いこなしてはじめてわかるようなことを、著者の経験を通して知り、即現場で使えるふりかえりスキルを身につけることができる。
プロジェクトマネジメントやふりかえり手法に関する本は沢山ある。でも、数多くの手法について説明があり、かつ、それぞれどんなシーンでどれを使うことが適しているかがわかりやすいものは実はあまりない。
その点、本書は数多くの手法が掲載されているにも関わらず各手法の利用シーン・利用のポイントがギュッとコンパクト(といっても264ページはあるのだがw)にまとまっている良書。プロマネに関わる仕事をする現場には1冊おいて、辞書的に使うと役に立つと思う。
どうすれば読めるのか
試し読み
(無料お試し版)ふりかえり読本 実践編~型からはじめるふりかえりの守破離~
94ページも無料公開してくれました!気になる方はまずこちらを読んでみてください。試し読みなのに36%も公開しちゃうとは・・・彼の懐の深さがうかがい知れます。。。
完全版
(冊子版)ふりかえり読本 実践編~型からはじめるふりかえりの守破離~
本書は9/22(日)に池袋サンシャインシティで開催される #技術書店7 に出品予定です。ただ現地に行かなくとも上記BOOTH URLから購入可能だそうです。現時点では紙の本だけになっていますが、きっとそのうちDL版も公開されるような気がします。
技術書典 サークル情報
プロジェクトマネージャ保護者会
技術書典サイトのサークル情報ページです。サイトにログインすると、気になっているサークル情報を「チェックリスト」に追加できるようです。
ふりかえり読本読んでれば・・・
最後に。恥を忍んで、懺悔の気持ちも込めて、かつての私の失敗談を1つ。
私はかつて、プロジェクトがうまくいかなかったときのふりかえりにKPT的なことを付箋を用いて行う現場に立ち会ったことがある。
結論からいうと、そこで用いられたふりかえり手法は何もかもがだめだった。本書を読んでいればすぐ「こりゃだめだ」とわかるようなことをやりまくっていた。
☑メンバーは20人。いきなりやるには人数多すぎ。
☑半年以上にわたる長期間の振り返りなのに、いきなりKPTをおっぱじめる。
☑顧客・委託先等参加者の立場はばらばら。建設的な本音を言い合える関係構築は未了。
炎上プロジェクトでその時点でもスケジュールは2カ月も遅延していた。しかしなんとかプロジェクトの中心の人の判断で「ふりかえり」の時間が3時間確保された。
しかし、そのふりかえりでは、ほとんど何の成果も得られなかった。
時間に追われる形でふりかえりは終了。しかもふりかえり効果が微塵も出なかったため、メンバー間に「あの無駄な時間は何だったんだ・・・」といういや~な空気が漂った。
なにか手を打たなければこのプロジェクトはもっとヤバい状況になる・・・みんなそんなことはわかっていたのだけれど、あの時以来2度と「ふりかえり」の時間がとられることもなく、タスクは消化されないのに時間だけがズルズルと過ぎていき、どんどんプロジェクトは遅延していった。
私があのときこの本を手にしていれば。あの場を仕切り直すことができたかもしれない、と思う。立場上ちょっといろいろとアレだったので大きくでるのは難しかったとしても、この本をプロジェクトリーダーに見せてそれとな~く「こういう方法もあるみたいですよ!」ってお勧めするとかはできたはず。
でも、実際、あの時の私はなんの知識も経験もなく、何もできなかった。この本を読んで、忘れていた(忘れたかった)あの時の出来事が自分のなかに鮮やかによみがえってきた。
炎上しているプロジェクトであればあるほど「おいー!ふりかえりの時間なんて確保してる時間ねーよ!」となりがち。どーにかこーにかメンバーを説き伏せてふりかえりを導入したとしても、にわか知識で不適切なふりかえりをやって大失敗してしまうと・・・二度とふりかえりができなくなる。そんなにがい体験を思い出した。
本書が多くの人の手に渡ることで、そんなにがい体験が少しでも減ればいいなと思ってやみません。