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チームビルディングだからって飲みにいかなくてもいい

くりこ(@kuriko828)です。

会社同期エンジニア(?)のびば(森 一樹 @viva_tweet_x)が2/29(土)開催の技術書典向けに執筆していた「チームビルディング超実践ガイド」という本を読ませていただいたので、感想などつらつらと書いていこうと思います。

書籍紹介ページ

※前作「ふりかえり読本 実践編~型からはじめるふりかえりの守破離~」に関する書評はこちら

2/29(土)に予定されていた技術書典、中止になってしまったそうですね・・・
感染症が気になる時期で仕方がないことかなあと思いますが、ちょっと寂しい・・・。会場開催は中止になってしまいましたが、なにかオンラインイベントはあるらしいと聞いています。そちらが盛り上がるといいですね…!

#技術書典 非公式応援祭(2/29)in プロジェクトマネージャ保護者会

いいチーム→プロジェクトの成功

仕事上、早急に機能するチームを立ち上げ、マネジメントすることを求められることが多いのですが・・・それはそれは苦難続きで!人に話しかけることには特に抵抗ないのですが「うちとけて仲良くなる」ことはたぶん苦手w

いいメンバーがそろっていても、そのメンバーを活かすも殺すもそのチーム次第。
そして各メンバーの能力を最大限生かし、メンバー同士のシナジーを生み出すことが、ひいてはプロジェクトの成功につながっていく・・・そんな教科書的なことはわかっている。

本書で扱っているのは「いいチーム」のなかでも特に「アジャイルな強いチーム」。

「アジャイルな強いチーム」の3つの特性(p.28-29)

1.自己組織化されている
自分たちで目的・目標を設定し、自分たちの行動に責任を持ち、自分達の力で何かを成し遂げようとする。

2.レジリエンスがある
何か変化があった時や、問題が起こったときに、自分たちの力で迅速に回復できる。

3.学習し続ける
常に新しい技術に目を向け、自分たちの足りないスキルを認識し、チームのパフォーマンスを高め続けようとする。

つまり、単にチームメンバーの能力を活かす/殺すという次元の話ではなく、それらを前提にチーム全体として効率的に機能できる状態になっていること=「アジャイルな強いチーム」と理解している。

そして、本書ではこのような「アジャイルな強いチーム」を形成するための5つの活動について、1つ1つ具体的なワークをいくつか挙げながら説明がされている。

アジャイルな強いチームを形成するための5つの活動(p.30)

1.目的・目標を揃える
2.多様性を認め合う
3.関係の質を高める
4.文化を作る
5.自律・自立へ向かう

そして最後には付録として活動全体を俯瞰できる「チームビルディングチートシート」がついている、という至れり尽くせりな仕様。

前著をレビューさせていただいたときも思ったけれど、彼の作る本は、本当に丁寧に作られている。語弊を恐れずにいえば「辞書」のよう。どんなひとにでも読みやすく、理解しやすく、誤解が生じにくいようににという配慮が至る所にある。

本文は平易な言葉を用いてさらりと読めるように。でも、そこからより深い知識を得たいひとのためのレファレンスも充実していて。これだけの本を書ききるには、深い経験知見だけでなく、読み手に伝えたいという強い想いや伝える技術が必要…。

「チームビルディング活動」素直に参加できる?

アジャイルな強いチームを形成する5つの活動に関する記述を読んでいくうち、私のとてもいやーな性格がでてきました(笑)

これまで自分がチームメンバーとして参加したチームにおいて実施された「チームビルディングのための施策」といえば、みんなで飲みに行きましょう!だの、チームでレゴでなにか作りましょう・遊びましょう、など・・・

飲みに行けばそりゃあ多少は仲良くなるけれど。ワークをすれば、そりゃあ多少はいいやすい雰囲気もできるけども。

でも、それって、プロジェクトの目的そのものには全然近づけてないよね!?ただでさえ短い時間で高い成果を求められてるのに、こんなワーク、回り道のようにしかみえないんだけど?無駄じゃね?

チームビルディングに関する活動に参加しつつも、斜に構えて考える自分がいました。
実際、現場にいていきなりこのようなワークが始まっても「このワーク、意味ある?」感を抱く人はそこそこいるように思います。PMのかげでこそこそ言っているのを聞いたことがあります(笑)

本書にも書いてあるように、チームビルディングにかかる活動はコストパフォーマンスの計測が非常に難しいです。みんな「チームビルディング」の重要性は認識しつつも、それが上がることで一体どれほどチームのパフォーマンスに変化があるのか、チームビルディングのためのワークが果たしてどれほどチームビルディングに資するのか。

本書の特徴と使い方

そこでそんな斜に構えた私のようなメンバーがいるチームでもチームビルディングに資する活動を取り入れていくにはどうすればいいか。

基本的な流れは、取り入れやすいワークを取り入れて効果を実感してもらう→意義を理解する仲間を増やす→別のワークをしれっと活動に取り入れる・・・という繰り返しかなあ、と思います。

そしてこのサイクルをうまく回るようにするには「チームの目的に近いワークを選択する」のが一番大事かなあ、と思います。チームの目的の達成を強く意識しているメンバーであればあるほど、目的にとって回り道のようにしかみえないワークを嫌煙します。逆に言えば、チームの目的に近いワークであれば、それなりに真剣に取り組んでもらえる可能性が高い。

本書には、とにかくたくさんアジャイルな強いチームを形成する5つの活動につながるワークが紹介されています。しかも「アジャイルな強いチームを形成する特性」からブレークダウンして導かれた活動・ワークのため、比較的プロジェクトに近く「取り入れやすい」ワークが多く紹介されていると思います。読んでいくと「あ、これなら自然と取り入れられるかも」というものが沢山見つかります。

例えば、わたしが読んでいて「これは使いたい」と思ったのは「第4章 目的・目標を揃える」活動のなかの「4.2 サクセスファクターワークショップ(p.52-)」。

サクセスファクターワークショップでは、チームの成長やチームの関わるビジネスゴールをチーム自身で分析し、チームの指針を定めるために使います。
サクセスファクターワークショップ[6]では、チームのステークホルダー(利害関係者)が誰なのかを想像します。次に、ステークホルダー達の思い描くゴールを想像し、そのゴールの達成のために必要な要因を洗い出します。最後に、サクセスファクターの因果関係を分析し、ゴールの達成のために重点的に取り組むべき主要な成功要因である「クリティカルサクセスファクター」を抽出します。(p.52)

これなんて「チームビルディングに資するワーク」でありながら、そもそもチームの目的達成のために必要な活動(でも時間の都合やらなんやらでなかなか改めて時間をとって実施されることがすくない活動、、、)かと思います。

このあたりの内容って、時間のない中プロジェクトがスタートすると、PM・PLが設定した目的・目標がトップダウンでメンバーに共有されて、メンバーはそれらをおのおの解釈して進めてしまうことが多いのではないでしょうか・・・

でも、チームが立ち上がってすぐの段階でこのような形で目的・目標を整理することができれば、チームメンバーに深くチームの目的が共有されます。チームの目的・目標達成に直結するワークなので「回り道」感がなく、比較的メンバーにも受け入れられやすいかと思います。

自分自身の役割を認識することができることで個人個人が「自分の役割」を意識して高いエンゲージメントでチームの活動に取り組めるようになるでしょう。ワークを通して、1人1人の今のコミットメント度合や、思い、特技、性格等も見えてくるかもしれません。

 

私のように今まで「チームビルディングのためのワーク」なんてくそくらえと思っていた人にこそ、読んでほしいなと思います。
これまでわたしはチームビルディングに関するワークを誤解していた(いいものに巡り合えていなかった)んだなあ、としみじみと思いました。。