以前クライアントさんが受けてくださった単発セッションの内容についてご紹介します。
※ご本人には掲載許可をいただいています
※一部、本人を特定できなくするため話の内容を改変しています
会社の同僚にイライラしてばかり
28歳、第1子育休明けのF子さんからのご相談です。
会社に時短勤務で復職して半年。とにかく毎日仕事と育児に追われてて辛い、とのこと。
詳しく伺っていくと、とくに会社でイライラすることが多いようでした。
育休明けで時短勤務している女性Aさんに・・・
彼女は私と違って働くことに対しての意欲がない。保育園の行事などでもよく会社を休んでおり、周りに迷惑をかけてばかり。自分にもとばっちりがくる。しかもそのせいで他の社員たちから「これだから時短勤務は・・・」と思われてしまっている。同じ時短勤務でも、私は全然違う考え方・働き方なのに。彼女のせいでこまっている・・・。
バリバリ働く後輩女性Bさんに・・
彼女とは同じチームで働いているのだが「Fさんは時短ですよね。仕方ないから夕方の会議は出なくて大丈夫ですよ」と言われた。自分は16時までしか働けないので17時からの会議に出席できないというのはその通りなのだが、重要な会議だから本当は出たかったし、言い方も、後輩に指図されているようで、とても癪に障った・・・。
など
こんな、会社への愚痴が次々飛び出してきました。
そこで、私は気になってFさんに聞いてみました。
「ところでFさん自身は、現状をどんなふうにしたいと思っているんですか?」
Fさんは、急に自分自身のことに話を向けられて、一瞬、キョトンとした顔をしながらも、しばらく考えて「イライラしないで、仕事に集中したいです」と答えてくださいました。
そのあとも続けてやり取りをしていくうち、
結局、F子さんがAさんやBさんに対してイライラしてしまうのは、F子さんが、内心、彼女たちのことをうらやましいと思っているからだ、ということがわかってきました。
F子さんははじめ、Aさんがさぼっていることや、後輩のBさんに指示されたことにイライラしていると思っていたけれど、実際は、そのうらに、F子さん自身の願望が隠されていました。
F子さんもAさんのように保育園のイベントに行きたいと思っていたし、Bさんのように仕事の重要な部分に参加したい、とおもっていました。
F子さんは、ご自身のなかのもやもやがすっきりして、
セッションの最後にNext Actionとしてこんなことを決めました。
・こどもの保育園のイベントの日、休みを取れるよう上司と調整する(これまで休んではいけないと思っていた)。
・仕事の重要な打合せについては極力昼間の時間に入れてもらえるようメンバーと交渉する(お客さんが絡むものについては「ケースバイケース」と言われてしまったようですが、社内の会議は昼間にしてもらえることになったそう)。
セッションが終わった後、F子さんはこんなことをおっしゃっていました。
「自分のことについて話を振られた時、ドキッとしました。いままで、AさんBさんのせいで会社でイライラすると思っていましたが、本当は、私自身が、私自身の願望を無視していたからイライラしていたんだなということに気づけました。」
そして最近、F子さんに連絡をとってみたところ
「相変わらず仕事と育児の両立には奔走していますが、以前ほど仕事でイライラすることがなくなりました。イライラするときには、その裏にある自分の願望を考えてみるようになりました。」とのことでした。
「他人に」イライラする心の裏
他人にイライラしている、というのは、その他人のなにかに対して関心をもっているということ。イライラの感情をいったん脇において、「なにに」関心を持っているのかについて深堀りをしていくと、意外な自分の本心や囚われていることに気づけるということがよくあります。
人間が、あるものごとについてなんらかの感情をもつとき、カンタンに図示すると以下のような状態になっています。
ものごと自体は無色透明、無価値(意味づけがない)です。ただ、そのものごとを自分自身のフィルター(認知、色眼鏡…)を通してみることで、自分自身のなかに感情が生まれます。
人間がまず感知できるのは自分の「感情」です。でも本当は、その大元にある「ものごと」や自分自身のもつフィルターに気づき、それらを大切に扱ってあげることが、イライラせず精神的におだやかにすごしていくために重要です。感情はあくまで「サイン」なのです。
「他人に」イライラしているとき。つい「他人」のことばかりフォーカスして愚痴をいったり批判してしまったりするかと思います。でも、他人に目が向いているときこそ、その感情をいったん脇において、自分自身を見つめなおしてみると、なにか発見があり、そこにおだやかに過ごせるようになるヒントがあるかもしれません。